編集者の声・某月風紋

2012年12月号 連載
by 宮

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11月7日東京電力本店。7人の全社外取締役が壇上に並ぶ異例の会見。「当社の企業体力は急速に衰え、異常な人材流出が続いている。賠償・除染・廃炉の負担が『青天井』で膨らみ、将来への展望が見いだせないため、士気の劣化が加速度的に進む懸念がある」と訴えた。

政府は5月に東電再建に向けた「総合特別事業計画」を認定。5兆円まで賠償資金を立て替える支援策を講じて国有化し、株主総会後に「パワフルな社外取」(下河辺会長)を送り込んだ。ところが、瞬く間に賠償負担が膨れ上がり、行き詰まってしまった。そもそも「国策原発」であり、お墨付きを与えた国も責任を免れない。賠償負担を全て東電に押し付けるのはおかしいと、政府から任命された社外取でありながら、全員で「直訴」に及んだ。

続いて、廣瀬社長以下執行役14人が登壇し、「やるべきことは徹底してやり抜く」(廣瀬社長)決意と、71項目のアクション・プランを発表した。目玉は来年1月、副社長が専任で常駐する「福島復興本社」の創設。本店機能を一部移転し、賠償・除染支援業務の拡充により、500人規模で再編・増強する。グループ会社を含めて県内で4千人以上の体制で業務に当たる計画だ。

東電社員は被災地でモニタリングや除染支援に従事してきたが、セキュリティ不安もあり、国の陰に隠れて、身分を伏せることが多かった。そのせいか準備が遅れ、今なお復興本社をどこに置くかも決まっていない。初代代表は福島第2原発の所長経験者で、母親が会津若松出身の石崎芳行氏(59)に決まったが、本店から派遣される部課長の選抜はこれからだ。「東電に、これ以上のことを強いるのは福島復興や安定供給に繋がらないと言ってもらえるように、今頑張らなければ」(廣瀬社長)。「石崎さんを支えよう」と、有志の声が広がっている。

   

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