読者の声

2012年12月号 連載

  • はてなブックマークに追加

四半世紀も勤めた某週刊誌の編集部を辞めた2年前、それまで矢鱈と定期購読していた雑誌を思い切って絞った。残ったのは「月刊文藝春秋」「東京かわら版」「演劇界」「ダンチュウ」「スイッチ」、そして「FACTA」しかなかった。古巣であるところの週刊誌ですら、第二の人生を踏み出した私にとって必要とは思われなかった。

本や雑誌が売れなくなって久しい。最盛期には2兆5千億円を超えていた出版業界の市場規模は今では2兆円を割り込んでいる。しかし、それはよく言われる「活字離れ」のせいなどではなく、本や雑誌が酷くつまらないものになってしまったことに最大の原因があるように思えてならない。ひと言で言えば「読みたい」本や雑誌が少なすぎるのである。

FACTAが、私にとって数少ない「読みたい雑誌」である理由は、社会・経済の不公正・不公平と眦を決して切り結んでいこうとする覚悟そのものにある。こうした覚悟が出版人から失われているがゆえに、現在の活字不況がある。

株式会社北極星 藤井 一

   

  • はてなブックマークに追加