佐久間・市原市長と闘う「団塊」オンブズマン

2012年12月号 POLITICS

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東京湾に面した千葉県市原市は、国内最大級の石油コンビナートがある工業都市。人口約28万人の首都圏のベッドタウンでもある。その市議会が、佐久間隆義市長(66)が打ち出した新庁舎建設を巡って紛糾している。大震災直後の市長選で3選を果たした佐久間氏は、築40年が過ぎ、耐震性に難のある市庁舎の建て替えを表明。10月15日に開かれた市議会特別委員会に庁舎新築の四つの案を示したが、「利権誘導の箱モノづくり」「市長主導で年内に決定するのは拙速だ」と批判が相次いだ。

市が示す四つの案の概算事業費は128億~228億円。「問題は緊急対策ということで、新庁舎予算が、議会の決議にかからないこと。特別委も、市から意見を聞かれたにすぎない」と市議会議員は嘆く。市長は12月22日までに結論を出す方針で、議会のチェックは働かない。

佐久間市長の実家は地元工務店。日大経済学部を卒業後、28歳で市議初当選。3期務めた後、地元選出の衆院議員、岡島正之氏(故人)の後ろ盾で県議に当選。再び3期務めた後、03年に市長に当選した。地方政界歴38年という「市原のボス」である。

ちなみに岡島氏は元競輪選手という異色の代議士で、小沢一郎氏に師事した。後を継いだ子息の岡島一正衆院議員も小沢氏に従い、「側近四天王」の一人とされる。「佐久間市長は岡島親子2代と盟友関係にあり、小沢氏にも近い」(市議会関係者)

昭和30年代から干潟を埋め立て、工業地帯として発展した市原市。その市長が、小沢系代議士と地元の開発利権を牛耳る構図が透けて見える。「小沢氏の秘書が『西松建設事件』で逮捕された際、岡島代議士と佐久間市長のもとへもマスコミが押しかけた」と地元政界筋は言う。

不甲斐ない市議会に代わって立ち上がったのが、「市民オンブズマン市原」である。街頭で「拙速・強引に進行する市役所建て替え計画を知っていましたか?」と問うビラを配り、新庁舎建設反対を呼び掛けている。

会長の花澤良三氏(64)がオンブズマン組織を設立したのは昨年11月5日。セブン‒イレブンで約300店のコンビニ店舗開発を手がけた花澤氏は、県内の隅々まで人々の暮らしをリサーチしてきた。「働く人が減って年金をもらう人が増えている。子どもや孫にツケを回したくない」と、団塊世代の仲間に呼びかけ、税金の無駄をなくす行政監視活動に乗り出した。 

最初にアタックしたのは市議たちの政務調査費。目的外支出(1357万円)を見つけ出し、その返還を求めて、住民監査請求を行った。結果、市議会7会派に対して計657万円の返還勧告が出され、話題を呼んだ。

次に取り組んだのは市長公用車の使用状況の究明。情報開示請求で入手した佐久間市長の日誌と公用車の運行日誌(8カ月分)を突き合わせ、公務と無関係な公用車使用が192件あったとして計160万円の返還を求める住民監査請求を行い、全国のオンブズマン組織から注目された。当初、8人でスタートしたオンブズマン市原の会員は1年後の今、53人に増えた。

そして第三弾が新庁舎の建設阻止。「佐久間市長の任期はあと2年半。今、箱モノをやらないと市長に個人的なメリットはない。そんなことが許せますか」(花澤氏)。団塊世代オンブズマンの徹底追及が見ものだ。

   

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