参議院は少数精鋭「100議員」に身を削れ

中西 健治氏 氏
みんなの党・参議院議員

2011年3月号 POLITICS [インタビュー]
インタビュアー 本誌 和田

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中西 健治氏

中西 健治氏(なかにし けんじ)

みんなの党・参議院議員

1964年東京生まれ。東京大学法学部卒。JPモルガン証券入社。06年取締役副社長。09年7月退社。同年8月横浜市長選に出馬するも落選。10年7月参院選初当選(神奈川選挙区)。

写真/平尾秀明

――参議院で「一票の格差」の是正に向けた動きが始まりました。

中西 最大5倍の「一票の格差」が生じた昨年7月の参院選に、東京高裁が違憲判決を下し、昨年末、西岡武夫参院議長が1・15倍に格差を抑える、参院選挙制度改革案を提示したのは、ご承知のとおりです。

我が党ではいち早く選挙制度勉強会を立ち上げ、私はその事務局長として、国内選挙制度の変遷や海外比較を徹底的に研究してきました。その結果、「西岡案」が公表される前日、渡辺喜美代表とともに議長を訪ね、「みんなの党案」を提出することができました。しかも、両案が大筋で一致したことは驚くべきことでした。

――基本的に同じだった?

中西 はい。議長案は、都道府県単位の選挙区と全国単位の比例代表制を廃止し、全国9ブロックの比例代表制に一本化するものです。投票は政党名と候補者名の得票を合算して各党の獲得議席を決め、各党内の個人名で得票が多い候補者順に当選者を決める非拘束名簿式です。

都道府県ごとに選挙区を設け、3年ごとに半数を改選する現行制度では偶数の定数を割り当てます。人口の少ない県にも2議席を割り当てるため、格差是正はほとんど不可能という認識が同じで、さらに仕組みから見直す方針も同じでした。つまり、我が党もブロック比例代表制・非拘束名簿式を提案したのです。

――異なる点は?

中西 議長案が全国を9ブロックに分けるのに対して、我が党案は11ブロックを提唱しました。衆院の比例代表11ブロックと合わせることで、衆参同日選挙が行われた場合の混乱を避けることができます。

また、議長案は定数を現行の242のままとし、削減は今後の検討課題にしていますが、我が党は「増税の前にやるべきことがある」「国民に負担を求める前に、まずは国会議員が身を切るべき」と、アジェンダで宣言したとおり、「参院議員100人」へ、大幅な削減を求めています。

――議員が142人も減りますね。

中西 政治家の質を上げるのに、一番手っ取り早いのは定数を減らすことです。今は722人の国会議員がいますが、果たしてそんなに必要でしょうか。半分ぐらいでいいと思いませんか。国会議員を減らして浮いた予算で、官僚に対抗し得る裏方の政策スタッフを充実させたら、国会の政策立案・調査機能は格段に向上します。それ以上に、我が党は今後7年以内に「地域主権型道州制」の導入を目指しています。これが実現すれば、国や中央省庁が行っている仕事の多くが、基礎自治体に移ります。そうなれば、参院は少数精鋭の100人で十分なのです。

――衆議院はどうなりますか。

中西 衆院議員は180減の300人にします。将来的には憲法を改正し、衆参統合による一院制を目指すと、アジェンダで謳っていますが、一刻も早く「一票の格差」を是正するため、2013年の選挙時から適用することを前提に、今回の参院選挙制度改革案を提出しました。

――他党の取り組みは?

中西 菅首相は参院選後に「年内に与野党合意を目指す」と明言したのに、いまだに民主党案さえ作れぬ有り様です。現在、民主党内には全国を11ブロックに分ける案など3案があり、漸く調整が始まったところです。自民党も独自案を検討中のようですが、まとまりそうにない。

――今後の見通しは?

中西 参院の正副両議長と各会派の代表が集まる「選挙制度の改革に関する検討会」で、今年中に大枠をまとめることになっていますが、議長案を叩き台に話し合いを進めるべきです。西岡議長は通常国会で公職選挙法改正に向けた議論を加速させる構えですが、「党利党略」と「利害の壁」に阻まれ、成案を得るのは容易じゃない。我が党と議長案が大筋で一致したのは、自分の党や所属議員に有利か否かを一顧だにせず、我が国にとって何が最善かを、純粋に突き詰めて考えたからだと思います。

   

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