「関西テレビ」がまさかの「毎日放送」買収説

2010年10月号 連載 [メディアの急所]

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電波塔や放送設備など設備投資が膨大なのに、何ら増収にならない「地上デジタル化」の完全実施が来年7月に迫り、全国民放局の経営を圧迫する中、大阪では「関西テレビが毎日放送を吸収合併する……」との噂が燻っている。

各局とも広告収入が戻らず四苦八苦する中で、関テレは関西の準キー5局でトップの高視聴率を誇り、前3月期、2年ぶりに黒字に戻った。一方、毎日放送はテレビ部門こそなんとか黒字化したが、慢性赤字のラジオ兼営のため、経営は容易ではない。関テレはフジ・サンケイ系、毎日放送はTBS・毎日新聞系と系列が異なるため、常識的にはあり得ない組み合わせだが、両社には意外な接点がある。

関テレは阪急阪神ホールディングスの持分法適用会社であり、阪急グループと深い関係にある。一方、毎日放送は阪急と資本関係はないが、梅田再開発で組むなど経営者同士が親しい間柄。このため、「阪急を仲立ちにした統合話が進むのでは」との観測がある。

この先、全国127の民放テレビ局の再編・淘汰は必至。その中で在京のキー局同士の統合は双方が番組を制作・放送していることから簡単ではないが、準キー(大阪)以下は、実質的には東京でつくった番組を流す中継局と化しており、系列を超えた再編は非現実的な話ではない。「関テレ・毎日」が、その先例になる可能性はある。

関テレの筆頭株主であるフジ・メディア・ホールディングス、毎日放送のキー局である東京放送ホールディングスも「(系列から)抜けるなら破門だ」と押しとどめ、面倒を見る余裕に乏しい。毎日放送が、お荷物になっているラジオ部門の合理化をクリアできるかどうかが、焦点になりそうだ。

   

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