中古車アップル不祥事がオリックスに飛び火

2010年7月号 DEEP [ディープ・インサイド]

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東証マザーズに上場している中古車販売会社、アップルインターナショナル(本社・三重県四日市市)が5月28日に発表したプレスリリースが、投資家の間で話題になっている。

同社は今年2月19日に、高田祐二社長(当時)名で、創業者の久保和喜会長に対する辞任勧告と損害賠償訴訟の提起を発表した。問題となったのは、同社の香港子会社であるAIホールディングスがロンドン証券取引所に上場するとして、久保会長が複数の投資家に対してAIホールディングスの第三者割当増資を引き受けさせた件。上場準備の実態はなく、それを知った投資家の一部からアップル社が株式の買い取りを求められたという経緯を説明し、久保氏にその責任を問うものだった。

ところが2月25日には、それを全面撤回、逆に高田社長が辞任に追い込まれた。今回のリリースは、その後の内部調査の結果、久保会長は「シロ」であることを公にしたものだが、久保氏を免罪にするための強引な論理に満ちており、ある種のパロディとして楽しめる。なかでも際立つのが、香港での事案に引っかかった企業の一つについて「日本有数の大手金融機関であることから、『上場承認はすでに下りている』という極めて簡単に確認できる虚偽に騙されるとは考えにくい」と断定したくだりだ。ゆえに久保氏はシロで、問題を追及した高田氏らがおかしいというのだから恐れ入る。

ちなみに、この「日本有数の大手金融機関」とはオリックス。同社はすでにアップル社に持ち株を買い取らせて資金を回収、知らぬ顔を決め込んでいる。だが、現在アップル社の内部から、津地検や東証に告発が続々となされており、事件化は必至。オリックスは満天下に恥をさらすことになりそうだ。

   

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