TVを脅かすユーストリームの破壊力

2010年5月号 連載 [IT万華鏡]

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誰もが無料でライブ映像を配信できる「ユーストリーム(USTREAM、以下UST)」が注目を集めている。ユーチューブやニコニコ動画など、PCやモバイルから無料で動画を視聴できるサービスの登場は、既存メディアに大きな衝撃を与えたが、その波は放送側にも押し寄せてきた。

ユーチューブやニコニコ動画は、ユーザーがアップロードした映像を共有するためのサービスだが、USTはさながら生放送番組のようにリアルタイムに映像を流せる点が新しい。現場から生の声を届けるという点ではツイッターが先駆的役割を果たしているが、その映像版とも言えるだろう。USTは、米ユーストリーム社が07年に開始。PCにつながったビデオカメラとインターネット環境さえあればどこからでもライブ中継が可能だ。爆発的に普及したのは、09年末にアイフォーンから直接、ライブ映像を配信できるソフトが登場したためだ。

2月2日、ソフトバンクが約2千万ドルをユーストリーム社に出資。3月には、孫正義社長の肝いりで、ミニライブなどに一般利用できる配信用施設「USTREAMスタジオ 汐留」をソフトバンク本社内に開設。今後は渋谷を皮切りに、スタジオを全国展開するという。自前でコンテンツを用意するのではなく、ユーザーがコンテンツを配信する場を提供するというところがミソだろう。

映像配信時の楽曲使用に伴う権利処理問題もスムーズに事が運んでいる。USTはSNSとの連携にも積極的だが、音楽ファンの多い米マイスペース社の「MySpace」上の映像配信では、坂本龍一氏などの著作権を管理するJRCから楽曲使用の暫定許諾を受けた。JASRACとも包括許諾契約内で処理する方向で調整中という。日本人アーティストの楽曲の大半が個別許諾無しに使用できるとなれば、テレビを脅かす存在に育ちそうだ。

   

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