生方幸夫(衆議院議員、民主党副幹事長)

鳩山総理に「政策研究所」設立を要請

2010年3月号 連載 [如是我聞]
by M

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生方 幸夫

生方 幸夫(うぶかた・ゆきお)

衆議院議員 民主党副幹事長

1947年生まれ(62歳)。早稲田大学文学部卒。読売新聞社を経てフリージャーナリスト、経済評論家として活躍。約50冊の著作がある。96年衆院選初当選(千葉県第6区)。衆院安全保障委員会理事。当選4回。

写真/小嶋三樹

「前政権時代は、自民党政調会の部会、総務会の承認なしには、内閣は法案を提出できない仕組みになっていました。いわゆる『事前審査制』と呼ばれる政策決定システムで、『族議員の温床』となり、権力の二重構造を生んでいました」

「民主党はこうした旧弊を絶ち、総理主導の政治を実現するために、党の政策調査会を廃止し、一般行政に関する政策決定は、大臣、副大臣、政務官の政務三役が独占することになりました。この結果、党に残った我々議員は、新設された『省庁政策会議』で意見を述べるだけとなり、政策決定の蚊帳の外に置かれています」

「念願の政権交代を果たした今こそ、我々の手で国民のための政治を実現できると張り切っていたのですが、党が政策決定に関与できない仕組みではどうにもなりません。我々中堅以上の議員は手持ち無沙汰で困るほどです(笑)。が、それ以上に心配な状況が起こってきました。政権発足以来、政務三役は走りっぱなしです。とにかく忙しすぎるのです。政治主導のはずが官僚依存に陥り、いつの間にか操られていたなんてことになりかねません。そこで私は同じ危惧を抱く議員と話し合い、鳩山総理に『民主党政策研究所』(仮称)の設立を要請しました」

「まだ私案の段階ですが、党代表(総理)の直属機関として政策研究所を創設し、その傘下に①政策研究委員会、②閣法審査委員会、③議員立法委員会などを設けます。中核となる①は、立法府の法律作成について党の方針との一体性を調査し、助言を行います。いまの政府には無理やり省庁を合併しすぎた弊害が出ています。したがって党としては、もっと現実に即した各行政分野ごとの政策部会を設け、そこで族議員ではなく専門性を持った議員を育て、個別政策に反映するようにします」

「②は内閣提出法案について党としての意見を盛り込むためのものです。③は議員立法の作成とサポートと審査を行う委員会。我が党は議員立法を禁じていますが、これはおかしい。民主党は結党当時、『一人一政策』を掲げ、政権樹立の暁には各議員が議員立法を実行し、自らの政策を実現しようと切磋琢磨してきました。国民の声に耳を傾け法律を作るのが議員の使命。民主党は原点に返るべきです。総理には、これらを早急に立ち上げるために、年内に設立してくださいと申し上げました」

「各行政分野ごとに政策部会を設けるのは政調復活と批判されそうですが、事前審査制を目的としたものではありません。政治主導を実現するには、党側でも政策の研究と蓄積を進め、専門性の高い議員を育成する必要があります。新政権になって最も変わったことは官僚頼みの政治からの脱却でした。政務三役を党が強力にサポートし、官僚依存を打破しなければなりません」

   

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