崖っぷちの関西空港 頼みの綱は平野新官房長官

2009年10月号 DEEP [ディープ・インサイド]

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民主党政権の成立で、関西国際空港の生き残りはいよいよ困難になってきた。国土交通省は総選挙翌日の8月31日、2010年度予算の概算要求に関西国際空港会社への160億円の補給金を盛り込み、関空会社が抱える有利子負債1兆1千億円のうち8千億円分の金利を国費で肩代わりする方針を打ち出した。ところが、民主党は各省庁の概算要求を一から見直すと宣言。国費による関空支援は風前の灯だ。

地元・大阪府の橋下徹知事も「政権交代とは非連続性ということ。白紙撤回も仕方ない」と悲観的だ。

関空会社の福島伸一社長は鳩山由紀夫新首相の側近である平野博文新官房長官とは松下電器産業(現パナソニック)時代の同期で親友の仲。首相官邸の「平野パイプ」に期待を寄せる。

地元議員の平野氏は関空問題を熟知しているが、「ムダな公共事業」の根絶を公約した鳩山総理の「女房役」の立場を守らざるを得ない。同党が衆院選で問うたマニフェストには「関空問題」は盛り込まれておらず、政策的な優先順位は低い。

一方、関空会社は10月末から、国際線で新規就航・増便する航空会社向けに着陸料の割引率を30%から80%へと拡大する。「最大限の自助努力」(福島社長)とは言うものの、関西圏に関空、伊丹、神戸の3空港がひしめく供給過剰は変わらない。「関空が生き残るには、もともと開港の条件だった伊丹廃港を検討するしかない」という声も出ているが、伊丹はアクセスが良く利用客も多いため「近接市街地で万が一の事故でも起きない限り、廃港は不可能」(航空関係者)。関空の自助努力も焼け石に水となりかねない状況だ。

   

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