韓国のエコカー減税が日韓貿易摩擦の引き金に

2009年8月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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世界的な保護主義政策の広がりが懸念される最中、韓国政府が7月から実施したハイブリッドカーに対する優遇税制が、日本との貿易摩擦に発展する可能性が出てきた。購入時に最大300万ウォン(約24万円)強の減免を行う優遇税制の対象から、トヨタ「レクサス」の一部の車種が外されたからだ。韓国側は「エンジン駆動に関する技術上の条件を満たさないため」(知識経済省関係者)と説明するが、日本政府は「日本企業を標的にした貿易障壁の可能性がある」として調査に乗り出した。

優遇制度の対象として認められたのは、すでに販売されているホンダ「シビック」とレクサス1車種、そして7月に発売された現代自動車の計3車種のみ。残るレクサスの2車種は除外された。トヨタと日本自動車工業会は事態を見守る構えだが、韓国に精通した経営者は「現代自動車の新車種の販売台数を伸ばすことが優遇制度の目的。明らかなトヨタ外し」と指摘する。

これに先立ち韓国は、パソコンやデジタルカメラなどリチウム電池を搭載した製品の製造・販売にあたり、同国の認証検査機関の承認を義務づけようとした。

日本政府は、三洋電機、パナソニックなど日本企業がリチウム電池の世界シェアの6割を持つことから、「世界貿易機関(WTO)協定に違反する可能性がある」(経産省幹部)と抗議し、撤回させた経緯がある。立て続けに持ち上がった韓国政府との摩擦に、日本政府は神経を尖らせている。

   

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