ギャンブル中毒に強硬策 モスクワのカジノが消える

2009年1月号 GLOBAL [グローバル・インサイド]

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ロシアの首都モスクワから09年7月までにカジノが消える。旧ソ連崩壊後、モスクワやサンクトペテルブルクなど主要都市に無数にカジノが誕生したが、07年に制定された法律では、カジノはバルト海近くのロシアの飛び地カリーニングラード、シベリアのアルタイ地方、北カフカスのアゾフ海沿岸および極東沿海州の4地域でしか営業ができなくなる。モスクワ市当局によれば、この1年半で1千軒を超えるカジノが閉鎖され、学校や診療所、画廊などに衣替えしたという。

プーチン首相が大統領だった時代に可決されたこの法律は、都市圏に広がっていたギャンブル中毒の解決策。カジノを比較的貧しい地方に移転することにより、都市圏のギャンブル依存者を減少させると同時に、地方経済の活性化を狙う。

すでにアゾフ海に面するクラスノダール地方は「アゾフシティ」と銘打ったカジノセンター開発を計画している。アゾフ海に面する広さ2千ヘクタールのセンターには、3500室を提供する50のホテル、空港、港を備え、年間600万人の観光客を迎える予定で、40億米ドル規模の投資を誘致しようとしている。しかし、最近の国際金融危機で当初乗り気だった投資家の財布の紐も固くなった。カジノ特別地域に指定された4地域が僻地すぎることや、インフラが整っていないことも懸案事項で、アゾフシティ以外はまだ場所が確定していない。またモスクワ市だけでもカジノからの法人税収が数十億ドル規模で減少することに批判があるのに加え、非合法的な賭博が今後蔓延する可能性も指摘されている。

   

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