2008年11月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
賃貸アパート管理・運営の大東建託のMBO(経営陣らによる買収)が頓挫した。新興不動産の破綻が相次ぎ、みずほコーポレート銀行が融資に難色を示したため、9千億円を超える買収資金が調達できなくなった。MBOを通じた株式の非公開化に失敗した同社は「上場ゼネコン・不動産のドミノ倒し」から逃れられるか、予断を許さない。
そもそも大東建託のMBOは、創業者の多田勝美会長が保有する株式30%弱を売り抜けることが目的だった。家賃保証を条件に、アパート借り入れで地主に建てさせ、大東建託が部屋の管理を受託するシステムが不動産市況の悪化で回らなくなり、「多田会長はビジネスモデルの限界を悟ったようだ」(米系投資銀行関係者)。その多田会長は当初一株7000円前後での売却を想定していたが、現在の株価は半値程度に落ち込んでいる。アパートローンの有力な出し手だった米リーマン・ブラザーズの破綻も痛手となった。創業者が見切りをつけ、金融機関の貸し渋りに見舞われた同社はマーケットの厳しい洗礼を受けそうだ。