2008年8月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
対北朝鮮外交をめぐり安倍晋三前首相に「利権屋」呼ばわりされ、激しいバトルを演じた山崎拓自民党元副総裁が女性票の奪回に目の色を変えている。
山崎氏は週刊誌で女性スキャンダルを報じられたために03年の総選挙(福岡2区)で民主党の新人に敗北したが、その後、復活当選。次期総選挙では民主党新人の稲富修二氏の挑戦を受ける。稲富氏は東大法卒の元商社マンで松下政経塾出身。福岡県知事選に出馬経験もあり一定の知名度を持つ。自民党に猛烈な逆風が吹き荒れるなか、醜聞で逃げた女性票を取り込めない限り山崎氏の当選はおぼつかない。
6月21日、山崎氏が地元福岡のホテルで女性ばかり約1千人を集めた「りんどう会のつどい」を開いたのも危機感の表れだ。りんどう会は山崎氏のかつての女性後援会で、10年以上休眠状態だった。集会は女性を意識し、バイオリンとピアノの演奏会を30分、その後、女性に人気の高い舛添要一厚生労働相が医療・年金問題について講演した。集まったのは60代、70代の高齢者が大半だった。
集会で山崎氏は「自分が(選挙で)危ないことは知っています。何としても生き残りたい」と本音を吐露。山崎夫人も「りんどう会は一番大事」「現実は厳しい。10万票以上取らないと当選できません。りんどう会の1千人に一人100票集めていただければ」「お父さま、お子さま方を説得していただきたい」と“泣き落とし”に出た。集会後、山崎氏は会場出口で女性一人ひとりに挨拶していたが反応はいま一つ。落ちたイメージの回復は容易ではない。