2008年6月号 連載 [RELIGIOUS WORLD]
大仰な見出し、躍る活字、多用される「!!!」(ビックリマーク)。
創価学会の機関紙「聖教新聞」は、なんとも賑々しい。それを見慣れている人でも、5月9日付の紙面には度肝を抜かれたに違いない。1面トップに、紙面の半分を占めるほどの巨大写真。そこに写っているのは、池田大作創価学会名誉会長と中国の胡錦涛主席のツーショットだ。
主見出しは「名誉会長 中国の胡錦涛主席と再会」。5月8日、胡主席の来日に伴って実現した会談は、創価学会と中国首脳部との関係の深さを、世の中に強く印象づけた。学会のはしゃぎぶりが紙面から伝わってくる。
巨大ツーショット写真を掲げた1面に続き、2面、3面も見開きで、対談内容とこれまでの中国首脳陣と学会の関係、正確に言えば、池田名誉会長との関係を詳述している。
同紙によると、1974年、周恩来氏は重病だったにもかかわらず、池田氏に北京で対面したのは、名誉会長がどうしても会わなければならない「(日中)友好の井戸を掘った人」だったからだそうである。さらに同紙は、鄧小平、江沢民両氏ら歴代中国首脳と名誉会長との「意義深い」交流も記している。
胡錦涛主席との対面は85年、98年に続き3度目という。そして今回は、会談の中身もさることながら、席上で池田名誉会長が胡錦涛主席に贈ったという自作の漢詩が興味深い。
國富邦和日日新 家家充裕感恩深 主施仁政行王道 席不暇暖為人民 古来文化漢土求 月氏睿智福共籌
錦繡中華迎舊友 濤聲友好萬代流
おおよその意味は、「中国は富裕と調和に向かって日々前進し、指導者は仁政を施している。日本は古来中国から文化を求め学び、友好は万代へ流れゆくだろう」。
頭の一文字を続けて読むと「國家主席胡錦涛」になる大変な凝りようだ。胡主席は「情熱のあふれた懐の深い漢詩」と拍手を送って感謝したとも報じている。そして、1面には「北京オリンピックの大成功を念願!」との大見出し。そこには、「チベット問題」や「毒入りギョーザ」「油田」の一言もなかった。