2008年6月号 GLOBAL [グローバル・インサイド]
悠久の昔から「平和の象徴」とされてきたオリーブが、今度は中東で泥沼の抗争を続けるイスラエル人とパレスチナ人の橋渡しに一役買うことになった。イスラエル人とパレスチナ人の合弁事業でオリーブ油を改良し、「Olives of Peace」(平和のオリーブ)のブランドで販売が始まった。
合弁の発端は、オリーブ油に精通するイスラエル人のオーデド・セルモン氏と、パレスチナ人のファレス・ジャビ氏の二人が05年に手を組んだこと。ヨルダン川西岸のパレスチナ人農家と、イスラエルのユダヤ人、アラブ人の農家が力を合わせるこの合弁事業は、最高級のオリーブを収穫してブレンドするが、双方のオリーブ収穫量がちょうど半々になることをめざしている。
このプロジェクトは、ユダヤ人とアラブ人の起業を促してきたイスラエルの著名な企業家ステフ・ヴァートハイマー氏(81)がバックアップしているほか、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)を介して日本からも資金的な支援とノウハウを得ている。
テルアビブ大学のセーブ・ハーシュ教授は「日本は非常に協力的だ。イスラエル人とパレスチナ人の協力が形ある姿で経済的な実を結ぶだろう」と述べた。オリーブ油の販売はすでに始まっているが、最初の大口購入は日本の日立製作所からであった。参照サイトはhttp://olivesofpeace.org/index.html
(イスラエルのジャーナリスト)