2008年5月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
福田康夫首相の余命は今秋にも尽きそうだ。自民党内で「ポスト福田」をめぐる動きが表面化。にわかに注目を集めているのが小池百合子元防衛相である。小池氏は3月下旬、所属する清和研(町村派)の事実上の代表である中川秀直元幹事長とともに中国を訪問。外交の実質的な責任者となった戴秉国・国務委員や「革命第5世代」のエースの一人、李源潮・共産党組織部長らと会談した。その後、やはり中川氏が立ち上げた超党派の「京都議定書目標達成議員連盟」の幹事長にも就任した。
小池氏の動きを、一部メディアが「ポスト福田狙い」「小泉新党政権の首相狙い」などと報じたこともあり、彼女の「本気度」に関心が集まっている。結論を先に言えば、彼女は本気である。小泉純一郎元首相と中川氏は、次の総選挙で小沢民主党に勝つには小池氏を担いで戦うしかないと考えているフシがある。が、それが現実的かといえば、政界筋の大方は懐疑的だ。とすれば、中川氏が「小池プレーアップ」に熱心なのはなぜか。
中川氏の目下の関心は、最大派閥・清和研維持の資金手当てとされる。事実上のオーナー、森喜朗元首相も、最近は自己資金の提供を渋りがち。清和研としては、なおのこと官房長官が握る官房機密費は手放すことができない。森政権から4代続く「清和研政権」によって、同派は「歴代官房長官から毎月3千万円の『上納』を受けている」(自民党代議士秘書)と噂される。もし、事実とすれば、領収書のいらない年間3億6千万円ものカネが派閥を潤すことになる。政界有数の策士、中川氏の腹は、「麻生政権の小池官房長官」狙いであり、そのために9月に前倒しが観測される総裁選に小池を担ぐポーズを取っているというのである。