2008年4月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
革共同中核派といえば1970年代から革マル派とともに殺人を含む3桁に及ぶ内ゲバを繰り返してきた新左翼。左翼退潮の中で鳴りを潜めてきたが、ここに来て異常事態が発生している。
今年1月、新左翼系出版物を販売している東京・新宿の「模索舎」に「革共同通信」なる機関紙が並んだ。1月22日付の創刊号では「安田派中央による変質粉砕し革共同の再生を!」と叫んでいる。「安田派中央」とは、安田(千葉動力車労働組合の元委員長・中野洋氏の変名)と清水丈夫(60年安保闘争以来の職業革命家)が中核派を牛耳っていることを指す。発行元は前進社関西支社。中核派の拠点は前進社を名乗り、全国にいくつかの支社を置いている。革命的共産主義者同盟関西地方委員会の事務所が前進社関西支社であり、その中心は京都大学出身の橋本利昭氏だ。「関西では部落解放運動にもぐりこんだと噂され、一部が反中央になった」と情報筋は明かす。「動労千葉労働運動への特化路線」なるものに、部落解放などの課題を重視する関西組織の反発が強かったようだ。
この分派は、今時「プロレタリア暴力革命の復権」を叫んでいることからも、到底まともとは思えないが、注目すべきは中央の統制が利かなくなっていることだ。これまで中核派の離反者は、たとえ中央に不満があったとしても「完黙」を要求され、一切の政治活動の放棄を強制されてきた。「脱落」後も活動する者は「反革命」と断罪されるのが常だった。分派活動などありえなかったのである。「ところが、最近は統制が利かず公然と分派闘争に走っている」(先の情報筋)。中核派の組織的統制力が弱まった証拠である。中央の軍事的統制によって繋ぎとめられてきた下部メンバーが一斉に離反するかもしれない。