とんだとばっちり 味の素の「冷凍ギョーザ」

2008年4月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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日本たばこ産業(JT)の子会社が輸入販売した中国製冷凍ギョーザの中毒事件は、冷凍食品業界に多大な影響を及ぼしている。なかでも深刻なのは、主力商品「ギョーザ」を抱える味の素の子会社、味の素冷凍食品。同社の「ギョーザ」は家庭用冷食としては年間販売額が100億円を超える国内で唯一の商品。最量販商品ゆえにダメージが大きいのは必然だが、業界全体として2月の冷食販売額が前年同月比で約3割減となっているなかで、「ギョーザ」は5割減と尋常ならざる落ち込みだ。

味の素冷食の「ギョーザ」は、全量を国内で生産しており、中毒事件を起こした天洋食品(中国・河北省)とは無関係。また、JTの子会社を含め商品名のほとんどが「餃子」と漢字表記なのに対し、「ギョーザ」と片仮名表記する商品は同社だけ。ところが、新聞やテレビなどのメディアは読者や視聴者への分かりやすさから「餃子」ではなく、「ギョーザ」と連日報道している。このため、「消費者の大半は味の素の『ギョーザ』が問題視されていると思い込んでしまう」と、味の素関係者は頭を抱える。

味の素冷食でも、ギョーザ以外の商品で材料を天洋食品から調達しているものがあり、こちらは自主回収している。このことも、ギョーザを自主回収しているとの誤解を生み、大きく販売量を落とす結果につながっている。

同社は3月5日に冷食の新たな品質管理強化策を公表するなど、消費者の信頼回復に躍起になっている。とんだとばっちりとはいえ、経営に与える影響が軽微でないことだけは確かだ。

   

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