ドル箱の米国市場めぐりトヨタ本社に米国法人が反発

2008年1月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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トヨタ自動車の快進撃に陰りが見え始めた。2007年9月中間連結決算では、稼ぎ頭の北米での販売台数が前年同期比で2%増、営業利益は1%増の低い伸びとなった。

陰りの原因について、「価格政策ではないか」と指摘するのは米国在住の自動車ジャーナリスト。トヨタは07年、北米市場に大型ピックアップトラック「タンドラ」の新型車を投入したが、販売は苦戦。ガソリン高やサブプライム問題による消費マインドの落ち込みで、大型車は軒並み販売不振だ。

しかもトヨタの場合は経営判断ミスが重なった。関係者によると、タンドラの販売価格をめぐっては、まずはシェアを確保すべきという米国現地法人と、収益性にこだわる日本本社が鞘当て。結局、米国側が提案した価格より約3千ドル(約33万円)高い日本側の主張が通ったが、割高感から敬遠され、今ではビッグスリー並みの4千ドル近い値引き販売に追い込まれた模様。値引きの原資が膨らみ、7―9月の北米の営業利益は14%の減益に転じた。

トヨタは06年、米国での年間販売でビッグスリーの一角、クライスラーを初めて上回った。今年はフォード・モーターを抜いて米国2位の座が確実視される。それだけに本社側からあれこれ注文が多く、それに反発する米国人スタッフは少なくないようだ。

米国の現地法人では生え抜きの米国人幹部が相次いで米国のライバル社に転出しているが、「現地に任せようとしないトヨタの体質にも問題がある」との指摘がしきりに聞こえてくる。

   

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