2008年1月号 DEEP [ディープ・インサイド]
経営破綻した英会話学校大手のNOVAは、ジー・コミュニケーションの学習塾運営子会社「ジー・エデュケーション」(名古屋市)に営業譲渡されることとなり、一連の騒動は沈静化したかに見える。しかし、猿橋望前社長が資金繰りに奔走した経緯をめぐり新たな問題が浮上している。
NOVAは経産省から一部業務停止命令を受けた6月以降、資金難に陥り、猿橋氏自ら持ち株などを担保に金策に走っていた。背に腹は代えられぬと駆けずり回ったため、札付きの仕手筋や金融ブローカーらにつけ込まれるハメになった。
問題になっているのは暴力団と関係が深いN氏からの資金調達。N氏は仕手筋のスポンサーとして知られ、その筋で「企業舎弟」と囁かれている人物。資金トラブルを起こした際に「暴力団関係者を使って仕手筋を拉致した」と噂されたこともある。捜査当局も暴力団との交友を確認しており、闇金融の世界では一目置かれる存在だ。
関係者によると、N氏は仕手筋として有名なH氏の紹介で、猿橋氏の個人的な資金繰りに協力するようになり、数千万円から数億円のカネを用立てたという。猿橋氏も恩義を感じたからか、紹介者のH氏に近い投資コンサルタントのS氏が組成した外資系投資ファンド2社に、発行済み株式の3倍近い2億株という新株予約権を引き受けさせる交渉を進めていた。ところが、直後にNOVA社内でクーデターが起こり、猿橋氏は会社を追われた。「大量に仕入れたNOVA株で仕手戦をやろうとしていたH氏の目論見は崩れ、N氏が用立てたカネも回収できなくなった」と関係者は言う。
H氏は憤激するN氏をとりなしたというが、「N氏がこのまま引き下がるとは思えない」(関係者)。警察・国税当局も、猿橋氏と裏社会の人脈に注目している。