MI5長官の執念死者のDNA鑑定も

2007年8月号 GLOBAL [グローバル・インサイド]
by ゴードン・トーマス

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6月末、ロンドンとスコットランドのグラスゴー空港でテロ未遂事件が発覚、イラク人医師ら犯人グループをたちまち逮捕して、2005年7月の同時多発爆弾テロ以来の雪辱を果たしたが、防諜機関MI5はすでに死亡したテロ容疑者のDNA鑑定まで行い、親族を監視下に置いている。MI5のジョナサン・エバンス長官が今年前半、自らケニアの小島ラムで遺体を発掘したパキスタン系英国人4人とその親族の事例でも、その徹底ぶりは明らかだ。

国際テロ組織アル・カイダが潜むソマリアでの捜査から、ラム島にテロリストの訓練キャンプがあることが判明。インド洋上の米空母に搭載された最新鋭偵察装置でキャンプの位置が確定すると、米軍が空爆を開始、キャンプにいた約400人のテロリストが死亡した。空爆を逃れた教官の命令で遺体は土に埋められた。しかしエバンス長官は、米空母からヘリコプターでラム島に飛ぶと、空爆の跡も生々しい現地で英特殊部隊SASと米特殊部隊デルタフォースに警護されながら、複数のMI5工作員らとともに危険を顧みず3日間遺体を掘り起こし続けた。

遺体の中から英国のパスポートを所持するパキスタン系英国人の遺体が4体見つかった。身元を確認すると、4人ともイスラム教徒が多く居住する英北部の産業都市リーズで生まれ育ち、1年前にイスラマバードの親戚を訪ねると装ってソマリアに飛び、今年1月にラム島に来たことが判明した。

エバンス長官らは空母に戻ると、直ちに4人のDNAサンプルの処理を進めさせ、結果をすぐロンドンの科学捜査班に送り、MI5が監視下に置く他の容疑者のDNAとつき合わせた。次に4人の出身地であるリーズのイスラム教徒居住区に広域電子監視網を設置、4人の家族が住む家屋の外壁、自家用車、モスク、行きつけのレストランに盗聴器を取り付けた。レストランでは、コップについた唾液を採取し、内務省の病理学者が4人のテロリストのDNAと比較して、本当に親族であるかどうかの確認もしている。こうした執念が今回は実を結んだようだ。

   

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