トヨタが子会社ファンドでビッグスリー株を買い支え?

2007年5月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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トヨタアセットマネジメントがトヨタグループ以外の自動車関連銘柄を投資対象とする、新たな自動車ファンドを検討している。同社は、トヨタの金融持ち株会社とあいおい損害保険が折半出資する投資顧問会社。現在、グループ上場企業の株で資金を運用する「トヨタグループ株式ファンド」で好リターンを実現しているが、投資対象がトヨタ本体やデンソー、豊田通商などグループ20社に限られるのが難点。そこで新ファンドでは完成車、部品を問わずグローバルに投資対象を選ぶことで資金を分散させ、経済・政治環境による変動リスクの軽減を狙う。

ここまでは投資の世界でよくある話。しかし、金融の話とはいえ、ファンド組成の過程でトヨタの子会社が世界の自動車メーカーを選別し、投資対象として適・不適の判断を下すことになる。こうなると、投資先にトヨタ本体の意向が反映される、との憶測を呼ぶのも無理はない。「ファンドに組み込まれなかったメーカーはトヨタの眼中にないことになり、世界的合従連衡から弾き出されるのではないか」と。

もちろん、トヨタ本体とアセットマネジメント社の間にはファイアウォールが設けられるが、米フォード・モーターなどの経営不振がさらに深まるようだと、日米自動車摩擦の再燃を恐れるトヨタが、この新ファンドを使って、米自動車ビッグスリー株を買い支える可能性もでてくる。

   

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