2007年5月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
今年10月に発足する独立行政法人「郵便貯金・簡易生命保険管理機構」の初代理事長に総務審議官として旧郵政のトップを務めた平井正夫・日本データ通信協会理事長(59)が決まり、旧郵政官僚は「菅義偉総務相に尽くしてきた甲斐があった。旧郵政復権の第一歩」と胸を撫で下ろしている。
日本郵政公社が郵貯と簡保で保有する約300兆円もの巨額の資産・負債を「旧勘定」として継承・管理する同機構は民営化の隠れた重要ポスト。「小泉政権時代には考えられなかった人事」(同省幹部)。実際、竹中平蔵前総務相は昨夏、同ポストに農水次官OBの渡辺好明前郵政民営化準備室長を理事長に起用する方針を固めたが、同氏が固辞したため、決定が先延ばしになっていた経緯がある。
しかし、旧郵政官僚が、これで満足したわけではない。郵政民営化に抵抗したことが祟って「旧自治→旧郵政→旧総務」の順番で回すことが不文律になっている総務省次官人事で2回もスキップされたトラウマは消えていないのだ。有冨寛一郎総務審議官ら旧郵政官僚が、菅総務相の対マスコミ強硬路線に全面協力するのも、次の次官ポストを確実にするための擦り寄り。NHKの料金引き下げ問題で旧郵政若手のホープだった放送政策課長の首まで差し出して大臣の歓心を買う有冨審議官らに対する「やりすぎ」(旧郵政OB)との声にも、どこ吹く風だ。