「安倍訪米」の広報担当世耕補佐官の「頭痛の種」

2007年5月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]

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安倍晋三首相が4月26~27日、首脳会談のために訪米、ブッシュ大統領はキャンプ・デービッド(大統領山荘)に安倍氏を迎え入れる。01年の小泉純一郎前首相の初訪米と同じ厚遇が予想される。小泉訪米時は、腹心の飯島勲首相秘書官(当時)が、野球好きの加藤良三駐米大使の進言を容れてブッシュ氏とのキャッチボールを仕掛け、好評を博した。今回、「パフォーマンスを何にするか」で悩んでいるのが、広報担当の世耕弘成首相補佐官だ。世耕氏は首相訪米の露払いとして2月下旬に渡米。議会関係者やジャーナリストなど60名余を訪ね、J・ボルテン大統領首席補佐官とも会談した。世耕氏は安倍訪米前の慰安婦問題に関する議会決議がいかにマイナスかを説いて回ったという。安倍初訪米時に、慰安婦問題での日本叩きが燃え上がる懸念があるだけに、世耕氏の対米ロビーイングを首相も評価しているようだ。

世耕氏のもう一つの悩みは、小池百合子国家安全保障担当の存在である。同じ「裏方」の首相補佐官である小池氏の目立ちたがり屋は周知の事実。安倍氏は訪米に続いてアラブ首長国連邦など中東諸国を歴訪するため、「中東のプロ」を自任する彼女が首相同行を申し出ないわけがないと戦々恐々なのだ。さらに頭が痛いのは、政府専用機の乗り降りの際の小池氏の立ち位置である。小池氏は安倍夫妻の隣を求めるはずで、同じく安倍側近を自負する下村博文官房副長官とぶつかりそうだ。

キャンプ・デービッドにヘリコプターで降り立った後も、悩みは尽きない。出迎えるブッシュ氏と安倍夫妻の乗るクルマの後続車両に、誰が乗るのかでも揉めそう。世耕氏や外務省の藪中三十二外務審議官らはバスで移動するのだが……。フォト・オポチュニテー(写真撮影)を望む小池、下村両氏が譲り合うとも思えない。

   

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