2007年2月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]
支持率急落で先行きが危ぶまれる安倍政権。その中にあって、安倍首相の肝いりで政権入りした的場順三官房副長官(72)とメディア対策を担当する世耕弘成首相補佐官(44、参院議員)の対立が避けられそうにない。
的場氏は元大蔵官僚で、国土事務次官を経て民間に転出。昨年9月の安倍内閣発足に伴い副長官に就任した。一方、世耕氏は伯父で元自治相の世耕政隆元参院議員の死去を受けて政界入りし、現在2期目。NTT時代に米国に留学しコミュニケーションの修士号を取得。05年の衆院選で自民党メディア戦略を任され、今は安倍政権の広報戦略を仕切っている。
両者は本来、裏方に徹する役回りだが、的場氏は昨年12月、本間正明政府税制調査会長の女性との公務員宿舎同居問題が発覚した際、「『本間氏は必ず辞めるよ』とリークして辞任を決定づけた」(自民党筋)。的場氏は「これからは自分がメディア対策をやると意気軒昂」(同筋)という。これに負けじと世耕氏も年末に自粛していたテレビ出演を「解禁」し、「これからはどんどん前に出て安倍政権をアピールする」と表明。もともと世代も経歴も異なる2人は肌が合わない。「両者の突出した動きが政権の一体感のなさをさらけ出すだけ」と危惧する声も。