2007年2月号 連載 [人事 HUMAN FACTOR]
菅義偉総務相の「首相官邸入り」が与党内や霞が関で囁かれ始めた。塩崎恭久官房長官ら「チーム安倍」の面々があまりにも当事者能力に欠け、官邸強化どころか弱体化を招いていることから安倍首相の信任が厚く、実務能力にも優れた菅氏に「助っ人」として白羽の矢が立った模様。
菅氏は人脈が広いうえ、自民党の中川秀直幹事長や丹羽雄哉総務会長、公明党の北側一雄幹事長らとのパイプも太い。参院選後の内閣改造で官房副長官、あるいは官房長官への就任説が有力で、政権運営立て直しのキーマンと目される。権力の所在に敏感な財務省幹部はすでに「菅詣で」を始めている。
そもそも菅氏については、安倍首相誕生の推進力となった「再チャレンジ支援議員連盟」立ち上げで見せた政治力が買われ、組閣前は官房副長官として官邸入りするのではとの見方があった。しかし首相は、通常は閣僚経験者が就く重要ポストの総務相に就けることで功に報いた。皮肉にもその論功行賞人事が、菅氏が政権全体の運営に直接かかわれない状態を生んだ。
ただ、参院選で惨敗すれば、首相退陣もありうることからやや突飛なプラン。これも政権末期の兆候か。