カリスマなき武富士に消えない身売り説

2006年12月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

  • はてなブックマークに追加

 消費者金融大手の武富士が迷走している。同社はグレーゾーン金利の利息返還請求に備え、2846億円の引き当てを行ったことで、9月期中間決算では1442億円の最終赤字に転落、2007年3月期決算でも1095億円の最終赤字を見込んでいる。

 業績悪化に加え身売り話が不安材料となっている。「今年の初めに武富士を買わないかというオファーがあった」(大手銀行役員)との証言もあり、同社が売りに出ていることは間違いない。「8月に亡くなった武井保雄前会長は晩年、次男の健晃専務への継承を諦め、株を売ることばかり考えていた。しかし、カリスマ創業者の没後、再び後継者問題が浮上。武井家の相続問題と相まって、先が見えにくくなっている」と武富士元役員は打ち明ける。

 武富士の社長人事は、武井氏が会長を退いた後も、その一存で決められていた。カリスマ亡き後、武富士の求心力は、武井氏と二人三脚で同社を築いた博子夫人に移った。博子夫人は健晃専務への世襲を望んでいるが、「まだ36歳の専務は経験不足で、武富士を率いる力はない」(武富士元役員)。

 武井前会長には本妻の博子夫人との間に長女と長男の俊樹氏、次男の健晃氏のほかに、内縁の女性との間に2人の子供がおり、一族が保有する25%弱の株式を処分するには、まず相続問題を片づけなければならない。

   

  • はてなブックマークに追加