巨大化するスカパーに番組供給会社は痛しかゆし

2006年12月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]

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 衛星通信大手JSATとの来年4月の経営統合が伝えられたCS放送スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー)。有料放送市場の伸び悩みが指摘される中、巨大化を続けるスカパーを時には頼もしげに、また時には煙たそうに眺めているのが番組供給会社(サプライヤー)だ。

 CS放送のサービスモデルは、サプライヤーが制作した番組をプラットフォーム事業者が集約して衛星に送り、そこから各家庭へ届けてもらう形式。複数のプラットフォームが存在した96年当初はともかく、合併・買収を繰り返してひとつだけになってしまった現在では、サプライヤーにとってスカパーは「逆らえない唯一絶対神」となった。

 JSAT、スカパーの経営統合は本来、サプライヤーにとって悪いことではない。「唯一絶対神」が強化されることで伸び悩む業界全体の底上げにつながることもあるだろうし、これまでは別払いとなっていた各種料金(スカパーは業務手数料、JSATはトランスポンダ使用料)が一括で済む、という利点もある。

 しかし一方で、すでに強大な存在となっているスカパーが、これ以上の力を持つことに危機感を覚えるサプライヤーも多い。サプライヤー側の業界団体が総務省に提出した意見書では、両者の経営統合について「賛成」の姿勢を見せつつも、「規律の確保」をしつこく求めている。

 独占企業が、さらに衛星インフラをも抱き込んだ巨大機関となることで影響力が高まった際に「好き勝手にさせないルール」の必要性を声高に訴えているのだ。意見書の中には、「JSAT、スカパーの息がかかったサプライヤーをエコひいきしてくれるな」と言わんばかりの内容もある。

   

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