KDDI幹部突如退任の「変」

2006年11月号 連載 [人事 HUMAN FACTOR]

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 KDDIの最高情報責任者(CIO)が10月1日付で突然退職した。CIO役にあたる執行役員情報システム本部長の繁野高仁氏で、後任には人事部長の富岡慶彦氏があてられた異例の人事である。事務系CIOの登場自体、にわか仕立てにも見え、「SE(システムエンジニア)のホープの繁野氏が小野寺正社長に辞表を叩きつけたのでは」との噂まで一部で流れている。

 繁野氏は77年北海道大学工学部卒で、日本NCRを経て85年に第二電電企画に入社、京セラの通信業界進出の母体、第二電電(DDI)の立ち上げに関わった。94年にPHSのDDIポケット(現ウィルコム)に出向、草創期の移動体通信にも携わる。2000年にKDD、DDI、IDO3社の合併に伴いKDDIに帰り、3社の課金システムの統合に貢献した。その功績で03年4月に同社のCIOとなり、将来を嘱望されていた。

 その繁野氏の謎の退職は、KDDIの技術屋集団の中で何かが起きたことをうかがわせる。「心を高める」という稲盛哲学を信奉する繁野氏は、IT部門の構造改革派だったが、NTTを経てDDIに入ってきた小野寺社長と次世代ネットワーク(NGN)をめぐって衝突したのかもしれない。繁野氏は京セラのコンテンツ会社に拾われる予定。

   

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