連載「ウクライナ・ダイアリー」/前線地帯に留まる住民たち/古川英治(キーウ在住)

2024年5月号 DEEP [ウクライナ・ダイアリー]

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前線地帯に暮らす住民を支援するボランティアグループに参加し、東部に向かった。取材でも東部に足を運んでいるが、今回ボランティアに加わったのは、活動を率いる28歳の青年、ヴラディスラヴ・マラシェンコの取り組みに関心を持ったからだ。ロシア軍は東部に攻勢を掛け、じりじりと占領地域を広げている。2022年に一時占拠されたイジュームやリマンを回り、前線に近いシヴェリスクという町に入ると、爆発音が頻繁に聞こえてきた。シヴェリスクには高齢者を中心に約200人が町にとどまっている。砲撃で破壊された家屋や集合住宅が目立ち、電気も水道もガスも止まったまま。ボランティアが訪れると、地下のシェルターから人々が出てきて、支援されたパンを手に笑顔を見せる。「なぜ避難しないのか」という問いは愚問だ。長年住んできた自分の家や土地への思い入れと愛着から、頑として動こうとしない人々 ………

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