インタビュー/RIZAPグループ社長 瀬戸 健氏(聞き手/本誌 宮嶋巌)

世間の常識を破る「スマートライフジム」

2024年5月号 BUSINESS [パイオニアに聞く!]

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1978年生まれ。03年に前身となる健康コーポレーション設立。06年上場。パーソナルトレーニングジム「RIZAP」で一世を風靡。22年7月開業したコンビニジム「chocoZAP」が大ヒット。

――24時間利用可能な低価格コンビニジム「チョコザップ」の新サービスが話題を呼んでいます。

瀬戸 開業1周年を迎えた昨年9月、セルフネイル、セルフホワイトニング、マッサージチェアなど6種の新サービスを提供し、来館者数・利用者数・入会者数がグンと伸びました。昨年8月75万人だった会員数は今年2月112万人になり、3月末の店舗数は1383店。5月中に全都道府県への出店を達成します。今回、本格導入する新サービスは7種類。「カラオケ」「洗濯・乾燥機」「ピラティス」「セルフフォト」「キッズパーク」「トレサポ」に加え、私のイチ押しは提携医療機関で頭部のMRI検査や腹部のCT検査が、年に最大1回無料で受けられる「医療提携サービス」です。

――2~4万円の検査費用がかかるMRIやCTの追加料金は?

瀬戸 高度な予防医療をもっと身近にするため、提携医療機関と会員のデータを連携させ、DXを活用して無駄な人手を省き、年間最大5万4千人を受け入れ可能なシステムを作りました。検査は最短15分程度で完了し、結果は電子レポートを受け取り、再来院も不要です。チョコザップが提供する全てのサービスは追加料金なしの月額3278円(税込み)です。

「スマートライフジム」を目指し、新サービスの拡充を発表する瀬戸社長(3月28日/写真 本誌・宮嶋巌)

――キッズパークで子どもを遊ばせ、洗濯しながらカラオケや、人気のピラティスを楽しむ。隙間時間に気軽に通えるコンビニジムから瞬く間に変身しましたね。

瀬戸 22年7月にローンチしたチョコザップは「1日5分のちょいトレ・健康習慣プログラム」の開発や、筋トレにとどまらず「美容」「エンタメ」など様々な分野のサービスを行ってきました。4月からのサービス拡充では「スマートライフジム」をキーワードに健康で活力にあふれる社会に貢献するため、利用可能なサービスのラインナップを進化させました。我ながらよく振り切ったと感心します(笑)。世間の常識を打ち破るスマートライフジムの実現に向け新領域に挑戦していきます。

――物真似をしない瀬戸さんらしい「新しい常識づくり」ですね。

瀬戸 元は携帯電話だったスマートフォンがゲーム、カメラ、音楽、地図、財布といった便利で多様な機能を増やし急成長したように、チョコザップも様々なサービスを充実させ、社会になくてはならない次世代のインフラと呼ばれる存在になることが目標です。

――開業以来、赤字が続いていた連結営業利益が第3四半期(23年12月)に初の黒字になりました。

瀬戸 チョコザップ事業は、昨年11月に初の単月黒字となり、第4四半期はさらに増益幅が拡大する見通しです。23年9月に店舗数が1千店を超え、しかも1店当たりの会員数が800人超と、当初予想の450人を大きく上回ったことが利益に貢献しました。週1回以上のご来館者が8割を超え、退会率も大幅に抑制できており、多様なサービス提供により、多くのお客様に元を取っていただけた証拠ではないでしょうか。

――チョコザップの早期黒字化に伴い出店目標を増やしましたね。

瀬戸 26年3月期の出店目標を2000店から2800店に上方修正し、27年3月期の目標を3800店に増やしました。今後3年間に400億円の投資を進めます。将来的には現在の10倍以上の店舗展開を目指します。

――最終目標は1万店超え?

瀬戸 日本のフィットネス利用者は人口の約3%、アメリカの約20%の7分の1です。日本には2千万人以上の「ちょいトレ」潜在需要が眠っていると思います。私は典型的なゴール設定型人間。目標が高いほど燃えてきます(笑)。

(聞き手/本誌編集長 宮嶋巌)

   

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