特別寄稿 先祖返りする「自民党農政」/元農林水産事務次官・奥原正明

既得権勢力に迎合した選挙目当ての政策では、食料安全保障の強化にはならない。

2023年7月号 POLITICS

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5月17日に自民党政調の農林関係の合同会議(総合農政調査会・食料安全保障に関する検討委員会・農林部会)は、「食料・農業・農村基本法」の見直しに関する提言をまとめ、5月22日に岸田総理に手渡した。提言の中には「食料安全保障の抜本的強化」という言葉が繰り返されているが、食料安全保障の強化につながるような具体的な政策は見当たらない。一方で、食料安全保障の基本である「農業を競争力のある強い産業にするための構造改革政策」については、修正を求めている。自民党のホームページには、「岸田総理は新しい資本主義について、『新自由主義からの脱却』を一つの柱に位置付けている。基本法見直しに当たっては、こうした方向性に沿った形で進めるべきだ」との認識が明記されている。要するに、安倍内閣の下で進められてきた現行基本法に基づく農政改革(自由経済のもとでの普通の経済政策にす ………

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