特別寄稿 米中「気球」の裏の競争戦略/1等海佐・後瀉桂太郎

コストを考慮すれば、どちらも武力行使は決断できない。その行動原理を解説する。

2023年4月号 POLITICS [有事でも、融和でもなく]

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中国では3月初旬に全国人民代表大会(全人代)が開催される。本稿が刊行されるころには第3期習近平体制の主要な陣容が明らかになり、様々な視点から分析がなされるであろう。前回、筆者は台湾有事のシナリオとその蓋然性について分析し、大規模な侵攻の可能性は高くない、すなわち当面の間、米中台の間で抑止は機能するであろう、と論じた(「台湾有事のレッドライン」2022年10月号)。その後も日中あるいは米中関係を示唆する様々なできごとが発生している。今回は「抑止」や「有事」とは別の視点、「競争戦略」の観点から米中関係を考えてみたい。22年10月16日に閉幕した中国共産党第20回党大会において、習近平国家主席は約2時間に及ぶ活動報告を実施した。これは17年の前回報告における約3時間半からかなり短縮された、とされる一方、「安全」あるいは「安全保障」という用語の使用回数が前回の55回 ………

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