評論家・中野剛志/朝日社説「国債発行が戦争を招いた」は歴史の捻じ曲げ

財政規律を優先させ、国債発行を禁じ手とするような頑迷な健全財政のイデオロギーこそが、悲惨な戦禍を招いた。

2023年2月号 POLITICS [真の歴史の教訓]

  • はてなブックマークに追加

朝日新聞が社説(二〇二二年十二月十五日)で、国債を発行して、防衛費の財源に充てることに強く抗議している。「借金頼みの『禁じ手』を認めれば、歯止めない軍拡に道を開く」からだと言うのである。朝日新聞は言う。「戦後日本は、巨額の財政赤字を借金でまかないつつも、防衛費への充当は控えてきた。国債発行による軍事費膨張が悲惨な戦禍を招いた反省からだ」「今回の国債は、老朽化した隊舎など自衛隊の施設整備に充てるという。だが、いったん国債を財源と認めれば、将来、戦車や戦闘機、隊員の人件費へと使途が止めどなく広がるおそれが強い。敵基地攻撃能力の保持に加え、財政上の制約までなくせば、防衛力の際限なき拡大への歯止めがなくなるだろう」「戦前の日本は1936年の2.26以降、国債発行による野放図な軍拡にかじを切った。それを担った馬場えい一(えいいち)蔵相は、『私は国防費に対 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。