特別寄稿/台湾有事のレッドライン「寸止め」で圧迫する中国/2等海佐 後瀉桂太郎

かの国に「合理性」は期待できるか。日本にとって制海(シー・コントロール)能力は死活的に重要である。

2022年10月号 POLITICS [いま、そこにある危機]

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2022年8月4日、中国人民解放軍(PLA)は台湾周辺海域で大規模な軍事演習を開始した。これは8月2日から3日にかけてナンシー・ペロシ米下院議長が訪台したことに対する反発を示したものである。すでに多くのメディアなどで報道・分析されているとおり、今回PLAが示した能力は、1996年の第三次台湾海峡危機当時とは比較にならないほど向上している。96年、台湾総統選の実施に反発し、PLAは大規模な軍事演習を実施した。当時のPLAに台湾海峡を越えて戦力を投射するだけの能力はほとんどなく、海峡周辺でミサイル発射や火砲の射撃といった演習を実施するのが限界であった。また、これを牽制するべく米海軍の2個空母戦闘群が台湾海峡に展開したとき、PLAは沈黙せざるを得なかった。だが今回の演習では、台湾海峡の中台中間線を越え、台湾島東部やバシー海峡を含む、台湾島を取り囲むような形で演習区域が設定 ………

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