セキュリティを強化した途端に、全国300自治体でトラブル続出。業者と自治体のどっちを向いて仕事をしているのか。
2018年3月号 BUSINESS
「市民のお問い合わせやご意見の投稿メールが1カ月の間、受け取れませんでした……」昨年4月、京都府宇治市の木村幸人副市長が市議会で頭を下げると、議場からどよめきが起こった。宇治市は同年3月、市町村がインターネットに接続する「出入り口」を京都府に集約し、セキュリティ対策を強化する「自治体情報セキュリティクラウド」に参加した。都道府県ごとに構築するセキュリティクラウドは、総務省が約250億円の補助金を出し、安全対策の遅れが懸念される全国1700余の自治体をサイバー攻撃から守るシステムになるはずだった。ところが、宇治市のケースでは外部メール92件と添付ファイルの消滅が分かったものの、その大半が行方知れずになってしまった。「パブリックコメントや市職員の不正を告発する公益通報メールが消えた可能性もあるのに、確かめようがない」と、同市議会議員は憤慨する。実は昨年の ………
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