読者の声

2016年11月号 連載

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10月号の『FACTA』。ここ10年ほどネットメディアで記者や編集者をしてきた私の目を引いたのは「ヤフーに毟られる大新聞」と題した4ページの記事だった。ヤフーを始めとするネット企業のニュースサイトが隆盛を極める一方で、それらに記事を提供する新聞社などの既存メディアが苦戦を強いられている構図を概観したものだ。

記事は、ネット企業が新聞などの記事を「安く買い叩いている」と批判しながら、既存メディアが衰退したら「記事の一次取材のコストを誰が負担するのか」と疑問を投げかけていた。これはジャーナリズムの質を左右する重要な課題のはずだ。だが、ネットメディアはもちろん、新聞やテレビも配信先に遠慮しているのか、この問題を正面から取り上げることはあまりない。

その点、存在感を増す新興メディアの問題点に、鋭く切り込んでいくFACTAの姿勢は光っていた。願わくは、このような記事が「ネット民」にも広く読まれ、議論を巻き起こすことを期待したい。

ジャーナリスト 亀松太郎

   

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