嫌われ「マンスプレイナー」

2016年11月号 連載 [いまここにある毒]

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ツッコミと切り返し、虚勢にはぐらかし……ディベート術の巧拙を競う「ヒラリー対トランプ」のTV討論は、観衆7、8千万人とはいえ、空疎な政治の異種格闘技というか、両陣営の宣伝屋が糸を操る言葉のマリオネットである。場外乱戦は「ミス子豚」をめぐるツイッター、18年間の税逃れ、あげくに更衣室の猥談などと泥仕合が続く。視聴者も匙を投げたか、ハ、ハ、ハとヒラリーのわざとらしい大笑いが得意な喜劇女優ケイト・マッキノンと、トランプのように下唇を突きだすアレック・ボールドウィンが掛け合う物真似に笑い転げるばかりだ。おや、と思ったのはmansplainerという新語をたびたび耳にしたことだ。manとexplainの合成語で、「エラソーに女に講釈を垂れる男」を意味する。敢えて駄ジャレで訳せば「雄(お)セッキョー屋」か。白人が黒人に同じように上から目線だと、whitesplainerと応用もできる。これ ………

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