社員一丸となって選手を応援

競技部担当の社長室藤原啓太さんは「4月から各選手が活躍しています。新人の川中香緖里、清水聡の2選手は選考会トップで、アジア競技大会の日本代表決定。また羽根田卓也（カヌー）は日本選手権で10連覇を達成。さらに柔道体重別選手権では山部佳苗（78㎏超級）が初優勝」。ミキハウススポーツクラブの勢いはとまらない。

ロンドン五輪銅メダリストの川中選手（アーチェリー）

日本記録ホルダーの小関選手（平泳ぎ）

ミキハウスは92年のバルセロナ五輪以降、6大会連続でメダリストを誕生させてきた。ミキハウスの創業者である木村皓一社長は明快だ。「人気競技なら他に受け入れ企業があるでしょ。僕の会社はマイナースポーツ、誰も応援してくれないという人が優先です」。木村社長はマイナー競技や環境に恵まれない選手を積極的に応援し、その夢を叶えることを大切に想っている。

その原点は創業当初、女性従業員が始めたソフトボールがきっかけ。「試合を見に行ったらすごく弱かった。応援したくて、少しずつ強化選手や実績のある監督を招いて強い実業団チームに育てました。そしたら、今度は女子柔道の支援の依頼があって。スポーツ支援は『縁』です。それを大事にしながら、今後もできる限り力を入れたい」（木村社長）

マイナー競技の企業支援は、業務が中心となるケースが多いが、ミキハウスの場合は一日中競技に打ち込める環境を整えることを優先し、世界一を本気でめざす選手たちの夢を全力でサポートする。

「『宣伝になりますね』と言われますが、それは結果論。僕の狙いは社員への好影響。世界をめざすような選手は皆、人間としても一流です。彼らの練習、努力は凄まじい。すごい仲間が身近にいることが刺激になり、パワーをもらえるんです」（木村社長）

社員一丸となって選手を応援するのもミキハウスの特長だ。選手たちも日頃の声援に応えるように、練習の合間を縫って社内行事や交流イベントに参加する。3月には、ロンドン五輪代表の藤原新選手による社内ランニング教室が開催された。ランニング好きな社員とその家族が集まり、たくさんのちびっ子も参加した。参加した山本望さん（人事部）は「新さんと並走してオリンピック選手のトップスピードを体感したり、フォームをチェックしてもらえて感激でした」と語る。

海外11カ国の富裕層に熱烈なファン

ロンドン五輪銀メダリスト、平野選手（卓球）凱旋にわく本社

世界に挑む精神は、ミキハウス本来のDNAでもある。「子どもによいものを着せたい親の思いは万国共通」との信念から、木村社長がめざす世界ブランドは「子ども服のベンツ」。「子どものことを第一に考えた高品質と優れたデザインがうちの信条。創業以来、安全・安心のモノづくりを追求しています。特に新生児向けの『ミキハウスファースト』の肌着は、抗菌・抗ウイルスの加工を施し、赤ちゃんの肌を大切に守ってくれる。履き心地にこだわったベビーシューズは、年間100万足を超える人気商品です」（木村社長）

海外出店も、ミキハウスの価値観を共有できる一流店に絞っている。87年のパリ進出以来、ロンドンの老舗百貨店ハロッズをはじめ、11カ国で45店舗を運営し、富裕層を中心に熱烈なファンが増えている。10年後には海外売り上げが国内と肩を並べるだろう。

本業同様、世界で活躍するスポーツクラブの想いは「一人でも多くの選手に、世界のステージで輝いてもらうこと。競泳、飛び込み、アーチェリーにカヌー。どの競技も生で見る迫力は感動的。ぜひ、試合会場へ応援に来てください」と藤原さん。来る4月28日からは世界卓球選手権に、ロンドン五輪銀メダリストの平野早矢香選手がミキハウススポーツクラブから出場する。世界一に挑戦する、ひたむきな「夢」を応援したい。