経営危機の「白元」に増資代表訴訟を恐れる住友化学

2014年5月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]

白元(東京・台東区)といえば衣料用防虫剤「ミセスロイド」や保冷剤「アイスノン」、ノーズクッションつきマスク「快適ガードプロ」など、多くのヒット商品でお馴染みの生活雑貨・衛生用品の老舗メーカーだが、ここに来て大がかりな不正経理が見つかり、経営危機に陥っている。

しかも、白元の不正経理発覚は初めてではない。2006年3月期に「上場に向けた体質改善の一環」と説明し、得意先への期末の押し込み販売を是正するため68億円の赤字を計上した過去がある。ところが、それ以後、上場の動きはなく、11年にはあずさ監査法人が任期途中に辞任するなど、不透明な会計処理が続いている疑いを持たれていた。創業一族の鎌田真社長(47)は慶大経済学部卒業後、米ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得したエリートだが、「交友関係が派手で羽振りがよすぎる」と銀行筋から不安視されていた。

1月には使い捨てカイロ「ホッカイロ」の国内販売事業を「キャベジンコーワ」で有名な興和(名古屋市中区)に譲渡するリストラ策を実施したが、この事業譲渡に先立ち、興和から売掛金や在庫を担保に譲渡代金の一部を前借りしていたことが判明し、資金繰りの苦しさが浮き彫りになった。

3月中旬には取引金融機関を集め、粉飾決算を修正するため、今3月期決算は62億円の最終赤字を計上し、自己資本がほぼゼロとなる見通しを示し、3月末から当面の返済ストップを要請する事態となった。

産業再生機構の元COO・冨山和彦氏が率いる「経営共創基盤」が再生計画を作り、銀行団との交渉を引き受ける案も浮上したが、あまりにも杜撰な経理処理に匙を投げたと伝えられ、瀬戸際に追い詰められている。

実は、「白元危機」に頭を抱えているのは大株主の住友化学。昨年5月、白元の要請を受けて19億円の株式を引き受け、提携関係を強化したばかり。わずか1年で全損の憂き目では目も当てられない。「どのような資産査定を行ったのか。経団連会長を務める米倉弘昌会長のワンマン体制の綻び」と揶揄する向きもある。

「19億円をドブに捨てたと株主総会で叩かれ、株主代表訴訟を起こされかねない……」と、住友化学の財務担当は青ざめている。