ドイツ「大連立」で競争力低下懸念

メルケルがSPDに譲歩。前首相の改革を後退させる連立合意書に、産業界は失望隠さず。

2014年2月号 BUSINESS

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ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、シュレーダー前政権の改革プログラム「アゲンダ2010」を後退させた――。185ページの連立合意書は、このことを強く感じさせる。昨年暮れに発足したキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の大連立政権は、ドイツ経済に利益をもたらしたアゲンダ2010を単純に継続するのではなく、国富の再配分へ向けて大きく舵を切った。メルケルの路線変更は、合意書の冒頭の次の文章にはっきり表れている。「連立政権は、老若男女、東西ドイツの全ての人々が幸福な生活を送り、我々の国がさらに繁栄を続けることを目指す」(傍点筆者)。メルケルの苦悩はこの「全ての人々」という言葉に凝縮されている。連立合意書は、ゲアハルト・シュレーダー前首相が断行した社会保障支出の削減を、逆戻りさせる施策に満ちている。たとえば来年から時給8.5ユーロ(1ユーロ=140 ………

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