読者の声

2013年2月号 連載

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創刊からの購読者である。この国には、今や殆ど目にすることのなくなった「孤塁」とか「矜持」という美しい言葉があるが、一抹の寂しさとともに今やメディアでその言葉が似合うのは貴誌のみとなったと感じる。スマホ、SNS、クラウドなど、第二段階に入ったICT革命の流れの中で、マスメディアの置かれた事業環境は厳しさを増すばかりである。

貧すれば鈍すではないが、大手メディアの東電事故やO社粉飾事件の報道は、まさに報道対象からの広告出稿の金額がちらつきつつの横並び記事にしか読めなかった。「大手証券会社OB」って? 確かに投資信託の新聞広告は大きいからな……と当時感じた次第である。

本格的な活動期に入ったこの国の地震活動と同じく、外交も政治も経済も噴火直前の雰囲気さえ漂う中、メディアの果たすべき使命はこれまでに増して大きい。今一度その魂、志といったものを取り戻し、社会の暗夜の一灯としての役割を果たしてもらいたい。むろん、貴誌にはその先導役としての立場を期待している。

アーク・イノベーション 社長 井上潔

   

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