マイページ | オンライン会員登録 | オンライン版について

定期購読のお申し込み | 月刊「FACTA」のご案内 | よくある質問 | ご意見・お問い合わせ | サイトマップ | ENGLISH

「原発」に頼らない社会へ  「節電30%」は実現可能!

吉原 毅

城南信用金庫理事長

2011年7月号 [インタビュー]
by インタビュアー 本誌 宮嶋

吉原 毅

吉原 毅
(よしわら つよし)

城南信用金庫理事長

1955年東京生まれ。77年慶大経済卒。同年城南信用金庫へ。92年理事・企画部長、96年常務理事、2006年副理事長を経て、昨年11月より現職。自らの年収を支店長(1200万円)以下に抑え、理事長・会長任期を最長4年、停年を60歳とする異色の改革を断行。信金業界切っての論客である。

写真/平尾秀明

――原発は段階的に撤退すべきですか。

吉原 いや、はっきり言って即座に止めるべきですね。なぜかと言うと、すでにわかったように、原発のコストは決して安くないからです。福島原発事故の補償は途方もない額にのぼる。そのうえ危険な使用済み核燃料を安全に処理する技術がいまだ確立されていないのです。この狭い国土に54基の原発があり、地震・火山・津波のリスクに怯え、ミサイルを撃ち込まれる国防上のリスクまで考慮したら、石原慎太郎都知事だって「とんでもない」とおっしゃるのではないか。

原子力は一歩間違えれば取り返しのつかない危険性を持っていることをネグレクトしてきた罪は重い。ただちに原発をゼロにすればさまざまな問題が起こるでしょうが、もはや議論する余地はなく、原発立地県の不安を考えたら、いったんすべてをストップするのが筋だと思います。

「原発」に姿を変えたお金の暴走

――なぜ、こんな事態が生じたのでしょう。

吉原 お金がバブルを生むように、原子力もバブルを生んだのです。もともと人々の幸せのためにお金があるはずですが、ともすると、人はお金に目を奪われて、それを忘れてしまう。お金というものは、人間の大脳が生み出した最大の妄想であり、魔物であり麻薬なのです。だから、何か具合の悪いことがあっても、ひとたび走り出すと止まらなくなる。間接金融のメーンバンク制の時代には、バブルが発生しないように銀行が一定の歯止めをかけていましたが、市場中心主義のもとで自由化が進んだため、お金が暴走するバブル現象を止める人がいなくなってしまいました。

原発が危険な技術だとしても、国益と安全性を徹底重視したなら、うまくいった可能性はあります。あるいは危険性が高まった段階で踏みとどまったかもしれない。ところが、原発はたった一基稼働させるだけで年1千億円を超える利益を生み出す麻薬です。いつの間にか、この巨大ビジネスに巣食う企業、政治家、官僚、学者らの利権複合体が生じ、そこへ莫大なお金が流れるようになりました。その結果、安全より金儲け第一に陥ってしまったのです。東日本が壊滅しそうなほどの大惨事、大悲劇が起きても、「原発反対」の大合唱が起こらないのは、お金が人の心を狂わせているからです。それこそお金の魔力、「原発」に姿を変えたお金の暴走だと思います。バブルの怖さを知る金融マンの立場からも見て見ぬふりはできません。

――今、求められているものは何ですか。

吉原 東京が直下型地震に襲われたら、城南も崩壊するかもしれません。「メメントモリ(自分もいつか必ず死ぬということを忘れるな)」という言葉があるじゃないですか。企業も今、この瞬間をどう生きるかを問われています。この国難には最大の善なることに取り組みたいと思います。

お客様サービスの充実も大事ですが、そういうことばかり言っている場合ではない。もっと大きく、世のため人のために何ができるかを考えたい。それが、お金儲けが目的ではない、相互扶助と非営利性を原点とする信用金庫の社会的な使命だと思います。

<< 戻る   1 2  



トラックバック

この記事のトラックバックURL : http://facta.co.jp/trackback/201107040/

※記事の内容に無関係なトラックバックにつきましては、削除させていただく場合がございます。