2011年1月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
IHIが造船の中核技術の輸出に乗り出し、業界に波紋が広がっている。船体の「曲げ加工」を世界で初めてシステムとして自動化した同社は、それを中国を中心に新興国向けに売り込む。中国は造船の建造能力では断トツの世界首位となっており、業界では「敵に塩を送ったら、技術や品質面でもキャッチアップされてしまう」(造船大手)との懸念が強まっている。造船用の厚板を曲げる工程は、熟練技能者がガスバーナーによる加熱と放水ホースによる冷却を繰り返して微修正を加えていく職人の世界。一人前の技能者に育てるには、10年以上の経験を積む必要があり、業界では「巧みの技」とも呼ばれている。中国では建造設備の拡張に対して、熟練工の育成が追いつかず、まさに「喉から手が出るほど欲しい技術」だった。折しも10年上期の新造船受注で、日本は急激な円高も響き、トップから3位に転落。ライバルの韓国 ………
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