「参院選の勝者」は公明党民主党が擦り寄るのを待つ

2010年8月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]

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「最大の勝者は、実は公明党なんだ」

公明党関係者は、こうつぶやいた。公明党は比例区では過去最低に並ぶ6議席にとどまったが、選挙区では東京、大阪に加えて埼玉でも勝利し、9議席を獲得。非改選と合わせて19議席となり、参院第3位の座は確保した。民主党は改選を10も下回る44で、非改選と合わせても106議席。国民新党の3と民主系無所属1を加えても110で、過半数の121に12議席も足りない。このため民主党は国民新党のほかに、今回10議席を獲得したみんなの党と組んでも過半数に届かない。逆に公明党の合意さえ得られれば、国民新党の3議席がなくても、何とか過半数をクリアできることになった。これは公明党だけが、政局のキャスチングボートを握ったことを意味する。

参院選後、公明党の山口那津男代表は「レッドカードを突きつけた相手と組むことはない」と明言しているが、民主党と徹底的に距離を置くかと言えば、そうではない。公明党の支持母体である創価学会幹部は「むしろ来春の統一地方選挙に向けた実績作りが大切。そのためにも単独キャスチングボートの地位を徹底的に利用する。要するに民主党を公明党に擦り寄らせることだ」と話す。消費税増税に強い拒否反応を示す支持層に対して、公明党が「消費税封じ」の存在感を示す絶好のチャンスとの見方もある。

その一方で、公明党は民主党を早期解散・総選挙に追い込むことには否定的だ。「我々が望むのは中選挙区制の復活」と公明党関係者は言い切る。創価学会の池田大作名誉会長(82)が高齢となった今、陣頭指揮は執れない。「学会員の選挙運動へのモチベーションを維持するには、負担の大きい小選挙区制より中選挙区制が望ましいに決まっている」と、先の創価学会幹部も言う。

問題は「小泉政権(当時)には創価学会員がいる」などと攻撃を繰り返してきた菅首相に拭いがたい不信感があること。公明党内には「民主党代表選で、小沢一郎前幹事長が菅首相を退陣させてくれた方が連携しやすい」との声もある。かつての市川雄一元書記長との「一・一ライン」復活とはいかないまでも、創価学会には小沢氏との復縁を望む幹部もいるようだ。民主党の代表選では「ねじれ国会」を乗り切るうえでも、公明党・創価学会とのパイプの太さが隠れたポイントになりそうだ。

   

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