朝日新聞が「朝刊駅売り値上げ」の波紋

2010年5月号 連載 [メディアの急所]

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朝日新聞が5月1日から朝刊の駅売りを20円値上げして150円にする。元日から朝夕刊とも20円値上げした日本経済新聞に追随する。駅売りが比較的多い日経の増収効果は年間6億円と見積もられているのに対し、朝日は駅売り比率が小さいため、増収効果は年間1億円とわずか。どちらにせよ、数千億円の売上げ規模の全国紙にとって微々たるものだ。つまり駅売り値上げは露払い。この先に月極め購読料の値上げを目論んでいると見るべきだろう。

朝日の関係者は「広告収入が激減する中、販売でカバーしないことには生きていけない」と、月極めの値上げを検討していることを明かす。日経も景気動向を睨みながら値上げのタイミングを計っている様子だ。問題は、どこが値上げを言い出すか。朝日は「電子版などで先行する日経さんが先陣を」と、ニューリーダーの日経に期待するが、日経は「新聞界のプライスリーダーは昔から朝日さんと読売さん」と、2番手に回りたいようだ。

朝日は部数も苦しい。2月のABC部数は798万4千部となり、1988年9月以来、22年5カ月ぶりに800万の大台を割った。秋山耿太郎社長は年頭の挨拶で「780万部まで落とす」と表明しており、販売経費の大幅削減に向けて販売店への補助金をカットするため「押し紙を20万部落とさざるを得ない」(朝日の関係者)。

不気味なのは読売新聞。全国紙の中で例外的に黒字経営を続けており、ABC部数も1001万5千部と1千万台を維持している。値上げ問題にどういうスタンスで臨むのか、ハラを見せない。業界他社は、最大部数の読売の出方を注視している。

   

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