ホンダが「お手ごろ価格」でハイブリッドの巨人に挑む

ハイブリッド車「インサイト」

2009年4月号 連載 [PRODUCT Review]

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ホンダが2月6日に発売したハイブリッド車「インサイト」の売れ行きが好調だ。2月の受注台数は1万5千台と、月間販売目標5千台の3倍。このペースでいけば、3月は新車販売ランキングのトップ(軽除く)に躍り出る可能性もある。

注目の価格は189万円から。競合するトヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」より約2割安いが、人気の秘密は安さだけではない。実は購入者の半分近くは50~60代。「ミニバンやSUVはいらないけれど、軽はいや」という子離れ世帯が「エコ」に惹かれているようだ。

問題は、人気がいつまで持続するか。ホンダが目論んだ「プリウスより若い世代」の掘り起こしがいまひとつ不発ななか、対抗するトヨタ陣営は「インサイト」包囲網を敷く。

5月発売の新型プリウスはインサイトより一回り大きいが燃費はリッター40キロと、インサイトを上回る。同時に現行プリウスの仕様を落とし、200万円程度に価格を下げて併売するなど、なりふり構わぬ「インサイト潰し」に出る。4月以降、エコカー減税で約11万円安くなる恩恵はあるが、快進撃はどこまで続くか。

1970年代、ホンダは低燃費エンジンの開発で米環境規制を真っ先にクリアし、世間をアッと言わせた。「環境・低燃費」の代名詞であるホンダの面目躍如となるか。福井威夫社長を継ぎ、6月に7代目社長になる伊東孝紳氏の次の一手に注目だ。

   

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