ネットブック市場に「高級路線」で挑むソニー

ソニー『VAIO type P』

2009年3月号 連載 [PRODUCT Review]

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「ネットブック」と呼ばれるノートパソコンの売れ行きが好調だ。4~5万円で買える1kg前後の小型ノートのことで、どれも処理機能の低い似たようなスペックで、用途はネットの利用程度に限られるが、安さを武器に市場を拡大し、今やパソコン販売台数の約3割を占める。

そのネットブック市場に新風を吹き込んだのが、ソニーから1月に発売された「VAIO type P」である。約588g(※最軽量構成)の薄く軽いコンパクトボディと、ソニーらしい質感の良い仕上がりが特徴だ。搭載する液晶も他のネットブックに比べて解像度が格段に高く、キーボードも打ちやすい。液晶が小さいので文字は細かく見づらいが、ハードウェアの出来は素晴らしい。価格は高いがそれだけの価値はあるだろう。

問題はOSにある。ネットブックに多いウィンドウズXPではなく、高速なCPUと大量のメモリーを必要とするウィンドウズVistaを採用しているため動作が遅く、ここが最大の泣き所になっている。

それでも発売以来人気を呼んでいるのは、前述した特徴が他社製品にない魅力として評価され、従来のネットブック利用者だけでなく、女性を含む幅広い層にまでアピールできたからだろう。値下がりが激しく各社の体力勝負になってきたネットブック市場に高級路線で挑戦するソニー。この人気を維持できるか。今後の売れ行きに注目したい。   

   

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