グルジア紛争の「最大の謎」

2008年10月号 連載 [「軍略」探照灯 第30回]

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日本メディアの国際紛争の報道は、第一報段階では、米・英系通信社の原稿を急遽訳したり、CNNを参考にすることが多く、米、英の観点からの印象が強くなりがちだ。南オセチア紛争はその典型で、識者の中にも「ロシア軍の南オセチア侵攻」で戦争が始まったように思って「冷戦再現」を論じる人が少なくない。実は今回戦争を始めたのはグルジア側だ。8月8日未明、グルジア軍は同国北部の南オセチア自治州に進攻、州都ツヒンバリを制圧した。市内に多連装ロケット砲を多数撃ち込み、戦車、装甲車で突入したから同市はほぼ壊滅状態となり、州政府の発表では1692人が死亡した。南オセチアの住民約10万人のほぼ7割はイラン系のオセット人でグルジア人とは民族対立があり、北隣のロシア領の北オセチア共和国への親近感が強かった。1988年ソ連がアフガニスタンで敗れて撤退を始め、その威信喪失に乗じてグルジア独 ………

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