「スジ悪」政界タニマチ摘発の波紋
国民新党の有力スポンサーと噂され、脱税容疑で東京地検に告発された怪人物の正体。
2008年7月号
W氏はバリアス社の将来性などを担保にLBO(レバレッジド・バイアウト)で購入資金を調達しようとしたが、いくつかの銀行に断られた末に、新生銀行から融資を受けることに成功、バリアス社を買収し、番場氏に報酬を払ったという。
その後、06年4月にW氏は埼玉県に本社のあるコンピューター関連会社にバリアス社の営業権を売却。現在のバリアス社は番場氏やW氏と何の関係もない別の会社だ。
番場氏は問題の所得について「インフォートの所得である」と主張し、容疑を否認しているというが、東京国税局関係者はこう話す。
「関係者から証拠類を提出してもらっており、カネの流れはつかんでいる。番場氏は受け取った報酬を預金したり、生命保険などを購入していた。ただ、報酬の一部、数千万円分の使途がよく分かっていない……」
番場氏とはいかなる人物か。
不動産関係者はこう話す。
「本人は『昔、右翼の大物の児玉誉士夫のボディーガードをしていた』と話していた。記憶力は抜群。馬車馬のように働くやり手だが、総会屋や暴力団との関係も取り沙汰される、いわゆる“スジ悪”の人物で、主に地上げやM&Aで財を成した。三番町以外にもいくつかマンションを持っている。美人のロシア人女性と再婚したのも彼の自慢の一つだ」
別の不動産関係者もこう語る。
「彼の本業は地上げだよ。主に東京など大都市圏の商業ビルを地上げし、外資系投資ファンドや同和関係の投資家などに売って大儲けしてきた外資の先兵だ。右翼や総会屋、暴力団関係などを含む人脈が地上げに役立ったということだろうが、その半面、彼は地上げがらみでトラブルを起こして一時、姿を隠していたこともあったようだ」
綿貫代表と古い付き合い
こんなスジ悪の人物が、なぜ政界のタニマチと呼ばれるようになったのか。番場氏と面識のある政界関係者は、次のように証言する。
「番場氏が周りに話していたところによると、野党の中では郵政選挙で自民党を離党した国民新党代表の綿貫民輔元衆院議長と親しいそうだ。同党の亀井静香代表代行とも近いような口ぶりだったというし、通産官僚出身の自民党代議士、佐藤剛男氏とも親しかったようだ。国民新党の結党資金の一部を出した有力スポンサーだという噂も流れているよ」
この政界関係者によると、番場氏は政界の人脈を駆使して複数の大手ゼネコンなどに情報網を広げ、地上げやM&Aがらみの情報を吸い上げてはビジネスに活用していたという。
最初の不動産関係者もこう話す。
「番場氏は綿貫氏を尊敬していて、国民新党に期待していたようだ。番場氏と話すと、よく綿貫氏の話題が出るからね。国民新党の亀井氏の名前が出るのは綿貫氏との関係からでしょう。番場氏は警察庁出身の亀井氏と懇意になれば危ない筋と揉めたとき助けてもらえると期待していたようだが、本人が言うほど親しくなかったのではないか。自民党の佐藤代議士とは近かったはずだ」
本誌は番場氏に脱税容疑の事実関係や政界との関係などについて、同氏がオーナーの不動産会社に電話で取材を申し込んだが、社員は「番場はこちらには出社していないので取材を申し込まれても対応できない」と話した。番場氏のマンションを訪ね手紙も投函したが、締切日までに連絡はなかった。
一方、亀井氏の事務所は「亀井本人も秘書も番場氏と面識がない」、佐藤代議士の事務所は「わからない」と回答。綿貫事務所は「昨年もパーティーでお会いした。古くからお付き合いのある不動産会社の社長さん」と答えてきた。
番場氏から政界に金は流れていないのか。東京地検の捜査の行方が注目される。
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